くろねこのこよもやま日記

【くろねこのこ】交通事故にあった猫の保護日記※無事に里親様へ縁付きました。ご支援感謝御礼申し上げます

ひと一人の人生

3/21

 

 

今日まで続いていた毎日が明日からもずっと続くとは限りません

 

辛辣だけれどそれが真実です

 

64歳の叔父の特別養護老人ホームの入所が決まりました

 

彼にとって終の棲家になる予定です

 

64歳なんてまだまだ若くて人生これから!のはずでした

 

 

彼を襲ったのは脳出血です

【左被殻出血】

 

職場で突然倒れ緊急搬送されました

 

残念ながら倒れてすぐの発見ではなく

倒れてから何時間後かの搬送でした

 

単身者の彼は家族がないため

兄である私の父に連絡が入りました

 

「このまま脳出血がひけば命に別状はなく

 手術の必要もないが後遺症が残る可能性がある」

医師から告げられました

 

面会謝絶からあけてお見舞いに行った私の目に飛び込んできたのは

色々な管につながれたままうつろな目で宙を見つめる叔父の姿でした

 

目が覚めたとはいえこちらからの呼びかけに一切の反応はなく

「点滴を外してしまう」との理由で拘束具を付けられた姿は

いまだに忘れられません

 

 

そして目が覚めた彼に残されたのは

【右半身まひ】

【言語嚥下機能障害】

 

それから

一番重く残ってしまった【高次脳機能障害

 

 

生きていくために必要な認知(理解したり考えたりする能力)

が大きくダメージを受けました

 

記憶・覚えることができない

注意・集中することができず落ち着かない

遂行・やるべきことが順序だててできない

失語・言葉が出てこない字が書けない

失行・物の使い方が理解できない

視覚認知・目の前のものが探せない空間を把握できない

 

幸いなことにリハビリを経て

右半身まひ、嚥下機能においては日常生活を送れるまでに回復いたしました

 

 

高次脳機能障害はかなり重度に残ってしまい

自分が病気で療養していることも理解しているのかどうか、、

 

日常生活は常に誰かの見守り、介助が必要です

今までのように自宅で一人では暮らせません

 

転院を繰り返し現在は老人保健施設に入所しています

 

できること、覚えていること

できないこと、覚えていられないこと

混在していて難しい状態です

 

本来であれば奥さんや子供が彼のバックアップに当たるところですが

単身者であり家族はなく一番近しいのは兄である私の父でした

 

私の両親も高齢で、複雑な医療制度や介護保険の制度などの申請を

全てをやるのは困難と私が代わりに動くことにしました

 

傷病手当金の申請

・高額医療免除の申請

介護保険利用の申請

・介護認定の申請

・自動車の廃車

・携帯電話の解約

・厚生年金の前倒し申請

・それまで住んでいた自宅の片づけ

・入所できる老人ホーム探し

精神障害者保健福祉手帳の申請

障害年金の申請

 ・生命保険の給付申請

 

山のような書類仕事です

 

また、私は彼の直系血族に当たらないため

必要書類の住民票、戸籍謄本一枚とるのにも委任状が必要になります

 

うつろな彼の目をのぞき込み

「今日はこの書類をとるからね」と説明し

力の入らない手にペンを握らせて一緒に叔父の名前を

委任状にサインします

 

彼が倒れてから一年7か月

やっと終の棲家になる特別養護老人ホームの入所が決まり

障害年金の申請も目途がたち認定が下りれば

これでどうにかお金に困ることもなく

日々誰かに見守られながら暮らしていけるかなというところまで来ました

 

先日障害年金提出用の診断書をとるため

叔父と病院を受診した際待合室でふと「私の事が分かっているのかな」と

疑問に思い「私が誰だかわかる?」と聞いてみました

 

「兄貴の妹だ」

 

答えはちょっと間違えてしまいましたが

そのあとにとてもはっきりとした口調で

「こ~んなに小っちゃかったのにな。立派になったな」

と続く言葉に私は涙腺を刺激されてしまいました

 

なかなかこんな風に叔父から【返答】が得られる事は

珍しいのです

 

ひとりでウルウルしているとさらに叔父は

「太っちゃってなぁ、、まったく」と続けました

 

「余計な一言!!」と

嬉しいやら腹立つやら、、笑

 

すぐにまた

失語の症状が出てしまい会話にならなくなってしまいましたが

穏やかな病院の待合室でのこのエピソード

 

私は忘れることはないでしょう

 

どうか彼がこれからの人生

健やかに過ごしていけますように願ってやみません